大学生が見た農業の最前線

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循環型農業

持続可能な農業の方法の一つに「循環型農業」があります。その実態を探るべく、今回は(株)アーク 館ヶ森アーク牧場 総務部 小松さんと、(株)若葉 センター長 佐藤さんにお話を伺いました。


△小松さん(左)と佐藤さん(右)。株式会社若葉にて撮影。

【メモ】 循環型農業とは?

 米や野菜などの農作物を収穫したあとのわらや収穫屑が家畜のえさとなり、その家畜のふんから堆肥が作られその堆肥から農作物が育ちます。このように、有機資源を循環させながら農作物を生産することを循環型農業といいます。農薬や肥料に頼りすぎない、ふんを利用できる、食品残渣をごみにしないといったメリットがあり、持続可能な農業の一つです。


館ヶ森アーク牧場と若葉

 館ヶ森アーク牧場の養豚場や養鶏場から出た家畜排せつ物、およびレストラン等から出た食品残渣、そのほか地域の家畜排泄物や様々な食品系の副産物や残渣物は原料として(株)若葉に搬入され、肥料が製造されます。製造された肥料は2種類の製品になり、そのうち1種類は有機JAS適合資材となっています。
 (株)若葉(当時は有限会社)は平成17年に設立されましたが、館ヶ森アーク牧場では農場開設時の昭和50年代から堆肥を農場に還元してきました。それは、この地が当初、畑に適さない土壌であり、土づくりから始める必要があったためです。長い年月をかけ、今では有機農業に適した畑になり、様々な作物が生産されています。

循環型農業

─循環型農業を始めたきっかけを教えてください。
 当社ではミッションの一つに『農業を通じて、緑豊かな地球環境を整える』を掲げています。循環型農業を取り入れることはそれを実現する方法の一つであり、当社の事業の柱である養豚業から毎日出てくる糞尿を資源として有効活用できる方法でもあります。当社では設立当初から循環型農業に取組み、試行錯誤しながら今に至ります。


△農場は、農場HACCPとJGAPを取得している。

―糞尿が肥料になるまでの具体的な流れを教えていただけますか?
 原料になるのは自社の養豚場や養鶏場、地域の酪農家などから出る糞尿です。各農場で一次ストックされた糞尿は(株)若葉に運び込まれ、発酵させ、肥料にします。一言でいえば簡単ですが、実は糞尿は「放っておけば肥料になる」というものではなく、様々な管理が必要です。
 例えば当社では、豚糞を6割、牛糞と鶏糞を2割、そのほか水分調節剤や動植物性残渣、おがくず等を混ぜています。それを高温域で好気性発酵させることで雑草種子や病原菌を死滅させることができ、長期発酵熟成をさせることで完熟肥料が生産できますが、暑い季節と寒い季節では発酵スピードも変わりますし、水をかけて発酵スピードを調整するといった作業も必要になってきます。
 生産した肥料は自社農場で使用することはもちろん、地域の方々にご愛顧いただいていますし、ネットを通じて全国の方にもお届けしています。


△発酵中のため土を掘ると湯気が出る

―「自社農場で」ということは、畑もされているのですか?
 はい、そうです。当社は養豚業を中心に、無添加ハム・ソーセージの製造、無添加デリカの製造、養鶏、無農薬有機小麦や野菜の生産、レストラン運営など多角化経営をしています。総面積は100haほどあり、そのうち畑は約15ha程の規模ですが、自社の堆肥で持続可能な農業生産をすることで、農産物や加工品に付加価値を付けることもできます。
 また、地域の農家さんと連携して飼料米の生産もしています。これは、「地域に貢献したい。豚に国産のエサを与えたい」という考えから取組み始めたものです。具体的には、地域の農家さんに当社の肥料を使って飼料米を生産いただき、それを飼料原料として買い取り、自社の自家配合飼料工場にて配合飼料を製造し豚に与えています。飼料米をエサに混ぜる割合は、当社のブランド豚の種類や品種、赤ちゃん豚や出荷直前の豚など生産段階によって変わるのですが、10%から30%の配合割合です。養豚飼料は一般的に5~10%ほどの配合割合が多いので、当社ではかなり多い方だと思います。

─地域とも連携した循環型農業を実現されているのですね!最後に、今後の展望を教えてください。
 先ずは会社の基盤となる養豚事業を強化させていく計画を進めています。基盤を強くすることで、肥料生産、圃場事業、豚肉の製造加工やレストラン、観光牧場の園内などをもっともっとブラッシュアップさせることができると考えています。それらを通じ、これからも農業や地域に貢献していきたいですね。


△館ヶ森アーク牧場の直売所など

公式サイト

 館ヶ森アーク牧場 https://www.arkfarm.co.jp/
 (株)若葉 http://www.wakaba-ark.co.jp/



※記載情報は取材当時のものです。
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