【連載】 日本農業経営大学校 学生レポート

日本農業経営大学校 学生レポート
このコーナーでは、日本農業経営大学校の学生さんがレポーターとなり、様々な農業現場を発信します。
今回のレポーターは、石川法泰君(右)と星祐之君(左)。この3月に同校を卒業し、4月から就農する二人が関心をもっているのは農業の持続可能性。そこで、不耕起栽培を実践する松沢さん(中央)にお話を伺いました。


農業の本質とは・・・

 東京駅から新幹線に乗り込み、向かった先は、豊橋駅(愛知県)。福津農園の松沢政満さんに取材するため、豊橋駅から車で10分ほどのところにある「フードオアシスあつみ」山田店へ伺った。

 「フードオアシスあつみ」に到着する頃には、間もなく10時30分になろうとしていた。車を停めようと駐車場をウロウロしていると、その一角に野菜を販売している集団が見えた。この集団のリーダーこそが松沢さんである。
 松沢さんは、33年前に14年間勤めていた食品会社を退職し、脱サラ帰農された。食品会社では研究開発の仕事に携わっていたが、食品添加物など食の安全への危惧を肌で感じ、「何とかしなければ」と考え、農業の道を選ばれたそうだ。
 この日は、松沢さんが就農当初から行っている朝市の開催日(開催日時:毎週金曜8時30分~10時30分/場所:「フードオアシスあつみ」山田店駐車場)。朝市が終わってからインタビューを実施した。

 まずは、就農当初から行っている朝市について伺った。朝市を始めた当初は、豊橋有機農業研究会の仲間の農家3軒で、個人宅の庭で行っていたという。ゴルフ場建設反対運動で知り合った市民環境グループなどが主なお客さんで、口コミでお客さんが増えていった。規模が大きくなり次第に手狭になってくると、場所を園芸店の駐車場に移し朝市を開催した。その後、先方の都合で朝市が行えなくなりそうになった時に、現在の開催場所である「フードオアシスあつみ」山田店に話を持ちかけた。
 はじめは「店内の農産物と競合してしまう」という理由で断られたが、その話が同社会長の耳に届くと「そんないい話を断るのではない」と駐車場での朝市開催の許可がおり、現在に至っている。朝市には多くのファンがついており、農産物を購入するだけでなく、生産者との会話を楽しんだり、実際に生産者の圃場に出向いくなど、活発な交流がうまれているそうだ。

 次に、松沢さんの農業観について伺ったところ、「農業の本質とは何だと思いますか?」という質問が返ってきた。こちらが回答に窮していると、松沢さんの口から、「私はエネルギー獲得産業であると思います」という言葉が出てきた。エネルギー獲得産業とは、太陽光エネルギーを作物バイオマス(食料)に転換し、人類の利用可能なエネルギーを獲得する産業のことだそうだ。この視点で現代の農業を見てみると、「得られるエネルギーよりも投下したエネルギーの方が大きくなっており、エネルギーを損失している」と松沢さんは指摘する。ご自身はこの本質に忠実であるべく、自然のシステムを最大限に活かした不耕起栽培を実施している。圃場の写真を見せてもらったが、そこでは草と農産物が共存・共生しており、多種多様な生き物が生息していた。まさに、共存・共生・循環を具現化している圃場であると、写真からも覗えた。

 最後に、農業の教育力について伺った。というのも、松沢さんの圃場には年間 1500人もの人が訪れており、食農教育にも力を入れていらっしゃるからだ。「農業の教育力は、共存・共生を体感できるところにある」と話す松沢さん。なかでも「体感」という言葉に、松沢さんは力を込めた。共存・共生という考えは、言葉で伝えることでも理解してもらうことは出来るかもしれないが、実感を持つためには体感することが欠かせない。その体感の場としての教育力を農業はもっている。松沢さんの圃場は、共存・共生を体感できる場としてデザインされているのだ。

 今回の取材を通し、「農業の本質とは何か」という核心について考えるきっかけとなった。この4月から就農する私たちも、この問題を考え続けていきたいと思う。


△朝市の様子。この日は8台の車が集まり、野菜や果物、花などが販売されていた


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