特集 縁の下の力持ち!農業を支える様々な企業

【コラム:農業×食】
地元農家との信頼関係がつくる「小松菜うどん」

 東京都葛飾区は、全国有数の小松菜生産地であることをご存知ですか?その小松菜をふんだんに使った「小松菜うどん」を生み出したのは、葛飾区を愛し、そしてたくさんの人から愛されるうどん屋、四ツ木製麺所の店主・守田良一さん(下写真)。今回は守田さんに、「小松菜うどん」の誕生秘話や、地産地消が支える農業をテーマにお話を伺いました。

地元農家との信頼関係がつくる「小松菜うどん」

―お店の看板メニュー「小松菜うどん」の誕生秘話をお聞かせください。
 以前は市販のほうれん草ピューレを使った「ポパイうどん」ってのを作っていたんだけど、「同じ緑色のうどんなら、葛飾区って小松菜の生産量が多いし、顔の見える野菜を使いたい」と思ったわけ。そこで、「葛飾で採れた野菜を使いたい」と区の方に話したら「葛飾元気野菜」の登録店になることを紹介されてね。PR用の看板やのぼり旗までくれたよ。

△店内の「葛飾元気野菜」PR看板とメニュー看板。

―小松菜はどこから仕入れているのですか?
 同じ葛飾区内の気心知れた農家さんから直接仕入れているよ。仕入れは毎週火曜日の定休日のみ。だから週の途中で売り切れたら、その週の小松菜うどんの販売は終了。

―市場など他のルートからは仕入れないのですか?
 それはしないね。その農家さんとの信頼関係もあるし、うちが一年中使うからって小松菜の生産量も増やしてくれたんだ。市場の方が安い時もあるんだろうけど、裏切るようなことはできないね。

―信頼関係がカギですね!ところで、「小松菜うどん」にはどのくらいの小松菜が使われているのですか?
 小麦粉12キロに対して、小松菜4キロ。

―すごい量ですね!
 緑色をキレイに出したり、小松菜の香りとエグミを出すために、限界に挑戦したわけ。それに、麺に練りこむ小松菜は生鮮のみ。麺を仕込む前に生の小松菜を調理してピューレにしているよ。

△緑がきれいな「小松菜うどん」

―たくさん採れる時期にピューレを作って冷凍保存するという方法もありそうですが…。
 冷凍は使わないね。効率だけ考えれば採れる時期に大量に買って冷凍すればいいんだろうけど、独特の旨さが出なくなるからね。それに、うちは昼間はうどん屋だけど、夜は居酒屋にもなる。そこで使う野菜もその農家さんから買っているよ。

―メニューは沢山ありますが、全部その農家さんの野菜なのですか?
 いや、そういうわけではないよ。メニューに使っている野菜や魚の多くは付き合いのある卸から買っているし、時には女房の両親がつくる無農薬の野菜が群馬県から届くから、それも取り入れてるよ。
 今の規模だと全てを地産地消にするのは厳しいね。なんせ3人で切り盛りしている店に、通常のお昼で50名程、多い時で昼夜合わせて170名ものお客様がいらっしゃるから、仕込みと接客で1日が終わる。その状態で無理して手を広げると絶対に失敗する。だから、もし製麺や地産地消に興味のある若者がいれば一緒に働きたいね。そうすれば新たな チャレンジも出来るしね。

―そうすると、より多くの農家さんと連携したり、地産地消の幅も広がりそうですね。地域農業を支える様々なヒントをいただきありがとうございました!


公式サイト

四ツ木製麺所
住所:東京都葛飾区東立石2-11-7
座席:23席 / URL  : Twitter @Oyaji_Udon




取材を通して

 今回の特集では「縁の下の力持ち」をテーマに、様々な業種の皆様へ取材をさせていただきました。農研機構さんでは たくさんの時間と労力を要して新品種が開発されていることを学び、東海化成さんでは農業の生産性を上げるため資材の品質を保つ確かな技術が必要なことを学びました。農業総合研究所さんでは「農業を支えるというと生産ばかりに目がいきがちだが物流や販売も農産物を支えている」というお言葉から広い視点を持つ重要性を学び、農文協さんでは自ら記事を書く農家さんの知恵や発想が想像以上に豊かであることや農家さん同士の繋がりが濃いことを知りました。
 また、どの取材先でも「自分たちが農業界を、農家さんを支えている」というよりも「農家さんに寄り添う」という心持ちの方が多かったことが印象的でした。
 普段食事をする際、農家さんへの感謝を込めて「いただきます」と言う方もいらっしゃると思います。しかし、その農家さんを支える大勢の方々を認識している方はどれくらいいるのでしょうか。今回の特集で、農家さんのみならず、農家さんに寄り添ってお仕事をされている方々へも感謝の気持ちを抱き、少しだけでも興味を持っていただけたら幸いです。取材にご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。

(特集メンバー 一同)



※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。


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